第四章〜星の石と2人の友情〜

第二話




「おっ?」

グレンが、目の前に何かを見つけた。

「どうしたの?グレン」

シオンも、グレンの目線が向いている方を見やった。

「もしかして、あれじゃねぇか?」

グレンの指さした先には、仄かに黄色く光るものがあった。

その光る物体は、星のような形にも見える。

「!うん、きっとそうだよ!」

二人はそれに向かって、走り出した。

二人の胸に、期待が溢れる。

わくわく、ドキドキ………





そして…、

「ビンゴ!」

グレンがガッツポーズをした。

グレンの顔には、達成感と嬉しさの混ざった、満足げな表情が広がった。

シオンの顔も、グレンに負けず劣らず綻んでいる。



『星の石』は、小さな台座の上に載っていた。

星の各頂点の先には、色の違う小さな玉がはめ込まれていた。

「っはぁ〜…。きれいだなぁ…」

シオンはその『星の石』を、惚れ惚れとした目で見つめた。

今までに見たどの宝石にも敵わない、とシオンは思った。

底知れない魅力があった。

その魅力に、シオンとグレンは吸い込まれそうになる。





「んじゃ、早速持って帰ろうぜ!」

しばらくの間、石に穴が開くほど見つめていたが、

いつまでもぐずぐずしているわけにはいかない、とグレンは立ち上がった。

「うん!」

シオンは石を台座の上から取り外した。



カチッ



その時、何かのスイッチが入ったような音がしたが、シオンとグレンには聞こえていなかった。

『星の石』は、シオンの両手に載るくらいの大きさだった。

「すっげぇ…」

グレンはシオンの手の上に載っている石を、もう一度まじまじとじっくり見つめた。

と、そのとき。



ゴゴゴゴゴ………



シオンとグレンの体が、ガクンと大きく揺れた。

「ぅわっ!な、なんだなんだ!?」

突然、洞窟が激しく揺れだした。

耳が痛くなるような轟音が、辺りに鳴り響く。

「じ、地震か!?」

グレンは地面に手をつき、四つん這いの格好になった。

そうしていなければ、バランスがとれず立っていることが出来ない。

「シ、シオン!大丈夫かっ!?」

グレンは、自分の少し後ろにいるはずのシオンに声を掛けた。

「う、うん!」

シオンも何とかバランスを取り、グレンに返事をした。

シオンの方も、グレンと同じように四つん這いになっていた。

(一体、なんなんだよ〜っ!?)

シオンは突然の出来事に、恐怖に陥り今にも泣きそうな顔になっていた。

一方、グレンの方は、何とかバランスを保とうと歯ぎしりをして耐えていた。

シオンとは全く様子が違う。









しばらくして(恐らく2、3分程だろうが、2人にとってはもっと長いように思えた)、

やっと揺れが収まった。

2人は、ほっと溜息をついた。

だが、まだ油断は出来ない。

「収まった…のか?」

グレンはまだ心配そうに辺りを見回していた。

「はっ!シオン?シオン!大丈夫か!?」

グレンはシオンの姿を探し、バッと後ろを振り返った。

「う…」

シオンが、軽い呻き声を上げた。

「シオン?」

その声に、グレンは焦った。

(まさか、怪我でもしたんじゃ…?)

「だ、大丈夫…なんとか…」

グレンは、シオンのその言葉を聞いて、ほっと胸をなで下ろした。

「まったく…。一体なんだったんだ?」

グレンはイライラした口調で言った。

その時、脳の中に直接響いてくるような、低く、不気味な声が聞こえてきた。









09.01.08 一部加筆・修正


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