第一章 誕生〜出会い〜
第一話
「シナセラ歴」が出来る、790年前…。
―ラクシアスランド―
「フィーーーーーーーーナーーーーーァッ!!!」
ばんっ!と勢いよく、家の扉が開かれ、一人の人間(見かけは)が飛び込んできた。
「……どうしたんですか、フェーンフィートさん」
フィーナ(まだまだ若い1000歳)は、目の前で起きている事には動じず、
部屋へと飛び込んできたフェーンフィートに尋ねた。
「嬉しいニュースよ、フィーナ!」
フェーンフィートは、走ってきたのか、少し息が切れていた。
だが、そんなことよりも、その「ニュース」の方に気が行っていて、気にもしていない。
その髪の毛が、ぼさぼさに乱れていようとも。
「………」
フィーナは、黙ってフェーンフィートの次の言葉を待った。
「今、神様のところへ行ってきたのよ!そしたら、明日、新しい子が生まれるらしいのよ!
しかも、ペガサスの子よ!」
フェーンフィートにとってそれは大変喜ばしいことであり、大興奮の様子だ。
「…そうですか。それで…?」
フィーナの反応はやけに薄い。
だが、フィーナのこの正確はフェーンフィート自身わかっていることだ。
もう慣れているやりとりなので、いちいち気にはしない。
「だ・か・ら!明日、神様のところへ行きましょう!あ、ラフィスとアルミオンも誘って!ね!」
ガチャ
そこへちょうどよく、散歩へ出かけていたアルミオンがドアを開けて入ってきた。
その顔は、少し困ったように笑っている。
「ただいま。…フェーンフィートさん、僕が何?」
アルミオンはフェーンフィートに尋ねる。
「あらやだ、盗み聞き!?はしたないわよ、アルミオン」
ちょっと驚いたようにアルミオンを見るフェーンフィート。
が、アルミオンはくすりと笑う。
「外まで筒抜けだったよ、フェーンフィートさんの声」
その爽やかな笑顔で、彼はさらりと言った。
「あらやだ!私、そんなに大きな声だった!?」
「ええ」
フェーンフィートは興奮しすぎて、有頂天になっていた。
「それで、何があったの?」
アルミオンが話を戻した。
「!そうそう、アルミオン、あのね!明日ペガサスの子が生まれるみたいなのよ!
だから、神様のところへ行こうかと思ってね♪」
相変わらずにこにこと説明をするフェーンフィート。
「ペガサスの…?へぇ。ぜひ行ってみたいね」
フィーナと違い、アルミオンは少し興味を持ったようだった。
そんな彼を見て、フェーンフィートは満足そうに笑んだ。
「じゃ、決まりね!」
フェーンフィートが、パンと手を打った。
(…私は無理矢理、か…)
フィーナはふぅと小さくため息をついた。
だが、フェーンフィートの頼みは断れない。
「それじゃぁ、ラフィスに言ってくるわね♪」
そう言って、フェーンフィートは鼻歌を歌いながら意気揚々と出て行った。
今にもスキップをしそうなその後ろ姿を、2人は静かに見送った。
「楽しみだね、フィーナ」
アルミオンは、ようやく静かになったと読書を始めたフィーナに言った。
邪魔をするなと言わんばかりに、フィーナは少し顔をしかめてアルミオンに目をやる。
「…別に。私には関係のないことだ。誰が生まれてこようと」
冷たいなぁとアルミオンが呟いた。
「でも…ペガサスかぁ…。一体どんな子が生まれてくるんだろう…」
ふふと楽しそうに笑むアルミオン。
が、そこにフィーナのひと言。
「アルミオン」
「ん?」
「五月蠅い」
09.02.08 一部修正
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