第一章 誕生〜出会い〜
第三話
「こちらこそ、よろしくねリース♪私はフェーンフィートよ♪」
フェーンフィートがにっこりと笑んだ。
「それから、この子はフィーナレンスドラゴン…フィーナでいいわよ♪」
「………」
フェーンフィートが後をちらりと見て、フィーナを紹介する。
フィーナはお辞儀一つしなかった。
「それから、その隣がアルミオンファラールドラゴン。アルミオンね」
「よろしくね、リース」
優しく、人なつっこい笑顔でリースに挨拶をするアルミオン。
「そして、ラフィスよ」
「…よろしく」
少し間をおいて、ぼそりと、だがよく通る声でラフィスがか軽く頭を下げた。
―それでは、フェーンフィートよ―
「はい、神様」
―私はこれから、少しリースナージョペガサスと話をしたいと思います―
「わかりました。では、私達はこの辺で失礼させて頂きます。今日はどうもありがとうございました」
―リースナージョペガサスは、これからあなた達とこの地で暮らすことになります。色々教えてあげて下さいね―
「承知致しました」
そう言って、神様に頭を下げると、フェーンフィートは3人を振り返った。
「それじゃ、そういうことだから帰るわよ♪」
(私は一体、何しに来たんだ…?)
フィーナは口には出さず、果たして自分が来た意味はあったのだろうかと疑問に思った。
フェーンフィートの後について神殿を出る際、ちらりと振り返るとリースと目があった。
(…なんだ?)
無表情のリースからは、何を考えているのか読み取れない。
すぐに顔を前に戻し、扉をくぐった。
―リースナージョペガサスよ…―
「…リースで構いません、神様」
―そうですか。…それでは、リース―
「はい、神様」
―今の者たちを、あなたはどう思いますか?―
神の突然の質問に、リースは少し困惑した。
どうだ、と聞かれても今ほんの数分顔を合わせただけの相手だ。
何がわかるというのだろう?
「そう…ですね…。皆、良い人だと思います。特に、フェーンフィートという人。
あの人は、とても優しそうで、楽しそうな人でした」
―そうですか…―
神は、素直な感想を述べるリースに優しく言い、続きを促した。
「それと、フィーナレンスドラゴン。…フィーナは、これから先、一緒にいたらきっと楽しいと思います。
色んな意味で…。フィーナは、私のことはあまり興味がなさそうですけど…。
アルミオンとラフィスは、まだよくわかりません。私が今気になっているのは、フィーナですから」
―…わかりました。それでは、明日にでも早速フェーンフィートの家に行ってごらんなさい。
後で彼女の家を教えてあげましょう―
「!本当ですか!?ありがとうございます」
リースはパッと顔を輝かせ、とても嬉しそうに言った。
余程嬉しいのだろう。
―ひとまず今日は、ここでゆっくりしていきなさい。明日、あなたの住む家の事も決めましょう―
「はい。それでは、失礼します」
リースは神に一礼し、部屋を後にした。
―…さて、これからどうなるんでしょうね…―
神はポツリと言った。
「フィーナ…か。明日が楽しみだ…」
リースはベッドに入り、ふふっと笑んだ。
夜空を見上げながら、リースは静かに寝息を立て眠りに落ちていった。
09.02.08 一部修正
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