第二章 花束〜贈り物〜
第四話
「フェーンフィートさんっ!」
庭で草むしりをしていたフェーンフィートは、自分を呼ぶ声に振り返った。
そこには、こちらへ向かって走ってくる姿があった。
「リース!どうしたの?」
フェーンフィートは少し驚いた様子でリースを見つめる。
「はぁっ…はぁっ…」
相当急いで来たらしく、息切れをし肩を激しく上下させている。
「フェ…、フェーンフィートさん…こ、これ…」
リースが、その手に持っていたものをそっとフェーンフィートに差し出す。
「まぁ、可愛い!」
それは、小さな花束だった。
花束と言っても、そんなに立派なものではなく、小さな野花を寄せ集めたとても小さな花束。
「どうしたの、これ?」
壊れ物を扱うように、そっと両手で包み込む。
「この前の、ペンダントのお返しに…、わらわ が頑張って作ったのじゃ !」
「!!??」
フェーンフィートは、リースの話の内容よりも、その口調に驚いた。
「リ、リース??どうしたの、その口調!?」
「…おかしいか?…ムムム…。この前読んだ本には、このように書いてあったのじゃが…」
リースが眉間に皺を寄せながら言った。
まだ何かブツブツ言っている。
「…ぷっ」
「!?」
フェーンフィートが、そんなリースを見て思わず吹き出した。
「な、何がおかしいのじゃ!?」
「ふふっ。ごめんごめん…。リースの顔が、あんまりおかしいものだから…」
フェーンフィートは、まだ「くっくっく…」と笑いを堪えている。
リースは何も言えず、ただ唖然としていた。
「ありがとう、リース♪」
しばらくして、ようやく気が済んだらしいフェーンフィートは、リースにお礼を言った。
目には、微かに涙の跡。
何がそこまで彼女のツボに入ったのか…それは彼女のみが知ることだった。
「うむ。そう言われると、わらわも作った甲斐があったぞ!」
2人は同時に、にっこりと笑んだ。
その2人の脇を、爽やかな風がサァッと流れていった。
09.03.18 一部修正
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