第三章 出発〜旅立ち〜
第一話
シナセラ歴 2213年
「それじゃ、行ってくるわね♪」
フェーンフィートの家の前で、フィーナ、アルミオン、リースは少し不安を抱えた顔で立っていた。
目の前には、笑顔のフェーンフィートと無表情のラフィス。
これから対ダークヴォルマ決戦のため、旅に出かける2人の見送りをしていた。
「…リース、大丈夫よ♪そんな顔しないで」
3人の中で、一番心配そうな顔をしているリースを見て、フェーンフィートは苦笑する。
「そうだ。フェーンフィートさんが負けるわけがない」
フィーナがキッパリと言い切った。
「そうそう♪それにラフィスもいるし♪」
フェーンフィートは、あくまでお気楽だった。
「それじゃぁアルミオン。オレ達がいない間、他の2人を頼むぞ」
出発間際に、ラフィスはアルミオンにぼそりと呟いた。
「任せて」
それに親指を立て、笑顔で見送るアルミオン。
そして、フェーンフィートとラフィスは旅立っていった。
二度と帰っては来ない地を後にして…―――。
「フェーンフィートさんが…死ん…だ…?」
フィーナ、アルミオン、リースは神様の前にいた。
そしてたった今、フェーンフィートとラフィスがダークヴォルマを封印するため、
最後の力を振り絞り他界したことが告げられた。
フィーナとリースは、あまりのショックで口がきけない状態だった。
アルミオンだけは、かろうじて話すことが出来た。
―ええ…。非常に…残念ですが………―
悲しみを隠せないのは、フィーナ達3人だけではなかった。
神様もまた、3人と同じ気持ちだった。
「う……そだ……」
フィーナが肩を小刻みに震わせながら、ポツリと言った。
―私も、出来れば信じたくはありません、フィーナレンスドラゴン…。
嘘などでは…―
「くっ…」
悲しみか怒りなのか、そしてそれは何に対するものなのか。
非力な自分?ダークヴォルマ?
感情のぶつけどころがないフィーナは、きつく床をにらみつけた。
(何故…何故だ!?最強のフェーンフィートさんともあろう人が…。何故…)
フィーナは、あふれ出す感情で爆発しそうだった。
ポタッ…
フィーナの足下に、一粒の涙がこぼれた。
「…フィーナ…」
アルミオンとリースが、同時にフィーナを見た。
無理もなかった。
フェーンフィートを誰よりも慕い尊敬していたのは、他でもないフィーナだったのだから。
09.03.19 一部修正
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