エピローグ 〜転生〜

第三話




ザッ



「………」

リースの、エメラルドグリーンの長くウェーブした髪を、風が優しく揺らす。

「…ふっ…。行くとするか…」



バサッ…



白い大きな翼が、勢いよく開いた。



ザザッ…!



白い天馬が、青く多きな空へゆっくりと飛び立った。

その姿は、神聖なもののように白く美しい。



リースの顔には笑顔が溢れている。

白い天馬の銀のたてがみを、風が気持ちよく流れる。

(…風が…気持ちいいのぉ…)

天馬は、嬉しそうに目を細める。














テスタルトが見えてきた。

(ディーゼルとシオンの家は…あの辺じゃったかの…)

足下に広がる大陸の、大きな森の隣にある村に目を落とした。

正確には、その村の端の方―シオンの家がある位置―に。



フワッ…



リースは森の中の湖に、音もなく着水した。

(やれやれ…久々にここまで飛んでくるとさすがに疲れるのぉ…)



ガサガサッ!



「むっ!?」

リースの左手側で、茂みが揺れた。

「!?えっ…う…わーーーーーーっ!!!!」

リースの方を、一人の少年が呆然と見ていた。

かと思いきや、しばらくしてハッと我に返り、叫び声を上げながら逃げていった。

「…なんと失礼なやつじゃのぉ…」

少年の後ろ姿を見送りながら、リースは仮の姿―人間の姿―に戻り、湖の上を静かに歩いて陸に足を付けた。

「さて…と」









09.03.21 一部修正


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